初めてCPAPを使用する方へ

CPAP(Continuous Positive Airway Pressure)は、睡眠時無呼吸症候群の治療に使用される持続陽圧呼吸療法です。

この装置は、閉塞した気道に空気を送り込むことで気道を開放し無呼吸を防ぎます。CPAPの適切な使用により睡眠の質が向上し、日中の疲労感や集中力の低下が改善されることが期待されます。

まず、睡眠時無呼吸症候群について

睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に繰り返し無呼吸が発生する症状がみられます。自覚症状が少なく検査をしなければ気が付かないことも多く、潜在的な患者は非常に多くいると言われています。

いびきに注意

いびきは無呼吸の症状の一つされています。いびきは、気道の狭窄や舌根の後退によって空気の流れが阻害され、振動音が発生する現象です。
この状態が悪化すると、気道が完全に閉塞し無呼吸が発生します。無呼吸の繰り返しによって、睡眠中の酸素飽和度が低下し、患者は疲労感や集中力の低下を感じることがあります。

無呼吸は蓄積して体に影響を与える

無呼吸が繰り返されることで慢性的な疲労や酸素欠乏が生じ、他の重篤な病気を引き起こす可能性があります。例えば、心血管疾患・糖尿病・脳卒中などのリスクが高まることが報告されています。

また、睡眠時無呼吸症候群は日中の眠気や注意力の低下を引き起こし、交通事故や労働災害の原因となることがあります。

そのため、無呼吸の蓄積による体への影響は、早期の治療が重要となります。

CPAPは「閉塞性無呼吸」に対して有効である

CPAPは、閉塞性無呼吸に対して有効な治療法です。

閉塞性無呼吸は、物理的な気道の閉塞や、筋肉の緩和によって発生します。一方、中枢性無呼吸は、脳が呼吸筋に適切な信号を送らないことが原因です。

CPAPは、持続的な陽圧を提供することで気道を開放し無呼吸の発生を抑制します。そのため、中枢性無呼吸に対しては、CPAPの効果は限定的です。

基本的に閉塞性の方が多いですが、検査時に中枢性と言われた場合はCPAP以外の治療が必要になります

CPAPの使い方

CPAP治療を開始する際は、まずCPAP本体にチューブを接続し、そのチューブをマスクにつなぎます。

マスクを適切に装着し、顔に密着させてからCPAP装置を起動します。マスクをしたまま眠ることで、CPAPが効果的に働き、無呼吸の症状が改善されることが期待できます。

鼻呼吸が基本!どうしてもの方だけフルフェイス

CPAPのマスクは、基本的に鼻マスク(ネーザルマスク)が推奨されます。鼻マスクは、鼻だけを覆うことで、快適に睡眠ができるように設計されています。しかし、どうしても口呼吸が続く場合や、鼻閉がひどい場合は、フルフェイスマスクを検討することがあります。

鼻呼吸になれる必要がある

無呼吸がある方は、苦しさから口を開けて口呼吸で寝ることが多いとされています。しかし、CPAP治療においては、鼻呼吸が基本となります。最初は、鼻呼吸に慣れるのに時間がかかるかもしれませんが、徐々に慣れることで、CPAP治療の効果が最大限発揮されることが期待できます。

なれる前に離脱してしまうことも

CPAPを使えば、すっきり爽快な目覚めが得られると期待する方も多いですが、実際には、CPAPに慣れるまでに時間がかかることがあります。初めてCPAPを使う場合、装着に違和感を覚えて離脱する人が約20%いると言われています。また、慣れるのには長い人で1-2か月かかることもあります。

自覚症状の無い無呼吸の場合、CPAP治療で改善しても自覚症状が少ないことが多く、効果を実感しづらいことが離脱の要因となることがあります。しかし、CPAP治療は無呼吸の症状改善や合併症の予防に効果があるため、根気強く続けることが重要です。違和感や不快感が続く場合は、医師や専門家に相談し、マスクのサイズや形状の変更、圧力設定の調整などを検討しましょう。

なれたら毎日続けましょう!

CPAP治療を継続することで、無呼吸が改善され、睡眠の質が向上し、日中の疲労感や集中力の低下が改善されることが期待できます。また、無呼吸が蓄積して引き起こす可能性のある重篤な病気のリスクも低減されます。慣れるまでの辛抱強さが必要ですが、健康的な睡眠を取り戻すために、CPAP治療を続けることが大切です。

初めてのCPAPよくある質問

CPAPとは何ですか?

CPAPはContinuous Positive Airway Pressureの略で、持続陽圧呼吸療法を意味します。睡眠時無呼吸症候群の治療に用いられる医療機器で、空気を一定の圧力で送り込むことで、気道を開いた状態に保ち無呼吸を予防します。

CPAP治療を始めるにはどうすればいいですか?

まずは睡眠時無呼吸症候群の診断を受ける必要があります。専門医に相談し、適切な検査を受けてください。診断が確定したら、医師の指示に従ってCPAP治療を始めます。

CPAPマシンの選び方は?

CPAPマシンは、機能やサイズ、価格などさまざまな要素があります。医師や呼吸器セラピストと相談し、自分の状況やニーズに合った機種を選ぶことが大切です。

CPAPマスクはどのように選べばいいですか?

マスクの種類やサイズは個人差があります。医療専門家と相談し、適切なフィット感のあるマスクを選びましょう。鼻マスクが一般的ですが、鼻閉や口呼吸が強い場合はフルフェイスマスクが適しています。

CPAPマシンの圧力設定はどのように行われますか?

CPAPマシンの圧力設定は、固定圧と自動調整圧の2種類があります。多くの場合、自動調整圧が使用され、無呼吸が起こると圧力が上がり、無呼吸が解消されると圧力が下がります。医師が適切な圧力を設定してくれます。

CPAP治療を始めたばかりで違和感があります。これは普通ですか?

はい、CPAP治療を始めたばかりの方は違和感を感じることがよくあります。しかし、1-2か月ほどで慣れることが多いです。違和感が続く場合は、医師や呼吸器セラピストに相談して調整を行いましょう。

CPAP治療中に口が乾くのですが、どう対処すればよいですか?

口が乾く原因は、口呼吸やマスクからの空気漏れが考えられます。マスクのフィット感を確認し、漏れがないかチェックしてください。また加湿器をCPAPマシンに取り付けることで、空気の湿度を調整し、口の乾きを軽減できます。

CPAP治療で耳が痛くなることがあります。どうすればいいですか?

耳の痛みは、気圧の変化によるものやマスクが耳に圧迫感を与えることが原因の場合があります。まずはマスクのフィット感やサイズを確認し、適切なものに変更してみてください。それでも症状が続く場合は医師に相談してください。