【2026年6月改定】CPAPの保険ルールが変わった|CPAPが使えなくなるかも?変更のメリット・デメリットと「購入」という選択肢

2026年6月、CPAP(持続陽圧呼吸療法)の保険診療ルールが見直されました。治療を始めるハードルは下がった一方で、「続ける」ための条件はこれまでより厳しくなっています。この記事では、何がどう変わったのかを患者様の立場で整理します。

この記事の結論

保険改定でCPAPを続けにくくなった・やめることになってしまった方へ。CPAPは「購入」して使い続けるという選択肢があります。

店長:児玉

今回の改定でCPAPを始めるための基準は下がりました。しかし、使用時間や通院といった“続けるための条件”はむしろ厳しくなり、人によっては保険でのCPAP継続が難しくなるケースが想定されます。本記事では、改定内容を患者様目線で整理し、メリット・デメリットをお伝えし、保険を離れてもCPAPを続ける方法をご紹介します。

まず押さえたい結論|「入口は広く、継続は厳しく」

今回の改定をひとことで言うと、「導入の入口は広く、継続の管理は厳しく」です。これまで「基準に届かない」と言われていた方も治療を始めやすくなった反面、CPAPを使い続けていることを数字で示せないと、保険での管理が成り立ちにくい仕組みに変わりました。

そのため、夜勤や出張が多い方、通院先が遠い方、マスクや圧がなかなか合わない方などは、治療を続けたくても保険の枠からこぼれてしまう可能性があります。そうした方にこそ、「CPAPを買い切って自分のペースで続ける」という道を知っておいていただきたいのです。

店長:児玉

しかしながら「CPAPを使いたけど保険適応基準外だった」というお問合せは非常に多いので、ここが解消されるというのは大きな変化になると思います。前までのAHI20が基準だとAHI19で使えないという方が減るのは良い変化ではあります。

2026年6月の保険改定で何が変わったのか

改定された保険のしくみは、医療機関がCPAP治療を管理したときに算定する「在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料」が中心です。少し専門的ですが、患者さんの生活に直結する4つのポイントにしぼって見ていきます。

① CPAPを始める基準(AHI)が下がった

CPAPの保険適用には、睡眠中に呼吸が止まる・浅くなる回数を示すAHI(無呼吸低呼吸指数:1時間あたりの回数)という指標が使われます。今回、この基準値が引き下げられました。

区分改定前改定後
基準となるAHIの下限20以上15以上
自覚症状だけで対象になる目安AHI 40以上AHI 30以上

これにより、自宅で行う簡易検査でAHIが30以上あれば、入院での精密検査(PSG)をしなくても外来だけでCPAPを始められるようになりました。また、精密検査でAHI 15〜19だった「グレーゾーン」の方も、新たに保険適用の対象に入ります。

店長:児玉

過去に「あと少し足りない」と言われた方は、再検査・再評価で対象になる可能性があり、レンタルができるかもしれません。

② 管理料の点数が見直された

医療機関がCPAPを管理したときの点数(指導管理料2)は250点から240点へ引き下げられました。一方で、使用状況をきちんとモニタリングしている医療機関には「充実管理体制加算(15点)」が新設され、条件を満たせば合計255点になります。患者さんの窓口負担に直接の大きな変化はありませんが、「使用状況をデータで管理する医療機関」が評価される方向に変わったことが重要です。

③【新設】使用時間が短いと保険の対象外に

今回もっとも患者さんに影響しうる新ルールです。1日あたりの平均使用時間が「1時間未満」の月が3か月続くと、その管理料を算定できないとされました。つまり、ほとんど使えていない状態が続くと、保険でのCPAP管理が成り立たなくなる可能性があります。

④ 通院とモニタリングが前提の管理に

受診しなかった月は管理の実績として数えられず、使用時間や無呼吸の状態を機器のデータで継続的に確認することが前提になりました。さらに医療機関側の基準として、「1日4時間以上の使用が月20日以上」あった患者の割合などが問われるようになっています。結果として、医療機関は「しっかり使えている患者さん」を中心に管理するインセンティブが働きやすくなりました。

患者目線のメリット

まずは良くなった点から。今回の改定は「治療を始める」という入口においては、たしかに患者さんに追い風です。

メリット1|以前「対象外」と言われた人も治療を始められる

基準が下がったことで、中等症(AHI 15〜30程度)の段階から保険でCPAPを始めやすくなりました。「グレーゾーンで様子見」と言われていた方が、正式な治療対象になります。

メリット2|入院せず、外来+自宅の簡易検査で始められる

AHI 30以上であれば入院精密検査が不要になり、仕事を休んで一泊する負担なくスタートできます。検査のハードルが大きく下がりました。

メリット3|早めの治療で、将来のリスクを抑えやすい

睡眠時無呼吸は、高血圧・心疾患・脳卒中などのリスクと関わるとされています。重症になる前に介入できることは、長い目で見て大きな利点です。

患者目線のデメリット|むしろ増えるかもしれない

ここからが本題です。「始めやすさ」の裏で、続けるための負担やリスクはむしろ増えたと感じる方が多いはずです。正直にお伝えします。

デメリット1|「使用時間のノルマ」が実質的に生まれた

平均使用時間が短い状態が続くと保険管理の対象から外れうるため、患者側に「使わなければ」というプレッシャーがかかります。体調や生活リズムで使えない日が続くと、不安につながります。

デメリット2|通院を続けないと、保険での管理が成り立たない

受診しない月は実績に数えられません。仕事や介護、距離の問題で通院間隔が空きがちな方ほど、継続のハードルが上がります。

デメリット3|データで“使えているか”が常に見られる

使用時間や無呼吸の状態がモニタリングされる前提になりました。サポートにつながる面もありますが、「数値で管理されている」ことに窮屈さを感じる方もいます。

デメリット4|続けたくても続けにくい人が、こぼれ落ちやすい

医療機関は「しっかり使えている患者」を中心に管理しやすくなる設計です。使用が不安定な方ほど、保険の枠から外れるリスクが高まります。

こんな方は影響を受けやすい

  • 夜勤・交代勤務で、毎晩きまった時間に眠れない
  • 出張や長期の外出が多く、機器を使えない日が続く
  • 通院先が遠く、毎月の受診が負担になっている
  • マスクや圧がなかなか合わず、使用時間が伸びない
  • 機器の数値で管理されることに抵抗がある

続けにくくなったら|「買い切り」という選択肢

保険でのCPAP継続が難しくなった方、あるいは「通院や使用時間の条件に縛られず、自分のペースで治療を続けたい」という方には、CPAP機器を購入(買い切り)して使い続けるという選択肢があります。

「買い切り(自費購入)」とは

保険診療では、CPAP機器は医療機関からのレンタルで、毎月の通院と管理が前提です。一方の買い切りは、機器を自分で購入して所有する方法です。月々のレンタルや管理の枠にしばられず、自分の生活に合わせて治療を続けられます。

買い切りのメリット

通院や使用時間の条件に縛られない

「毎月の受診」「平均使用時間」といった保険上の条件に左右されず、自分のペースで使えます。夜勤や出張が多い方でも、生活に合わせて無理なく続けられます。

月々のレンタル負担が続かない

保険レンタルは、使い続けるかぎり費用が発生し続けます。買い切りは初期費用はかかりますが、長く使うほど割安になるケースもあります。

自分専用の機器として、引っ越し・転院にも強い

転居や転院のたびに手続きをやり直す必要がなく、自分の機器をそのまま使い続けられます。予備機として持っておきたい方にも向いています。

買い切りで気をつけたいこと

医療機器なので、医師の診断・処方が必要

CPAPは管理が必要な医療機器です。自己判断で始めるものではなく、医師の診断にもとづいて使うことが前提です。まずは検査・診断を受けましょう。

圧設定・マスク選びは専門のサポートを

効果と快適さは、適切な圧設定とマスクの相性で大きく変わります。購入時はこうした設定やフィッティングをサポートしてくれる販売元を選ぶと安心です。

定期的な医療フォローは続けるのが安心

買い切り後も、体調や症状の変化を定期的に医師に診てもらうことをおすすめします。買い切りは「医療を離れる」ことではなく、「管理の主導権を自分に取り戻す」選択です。

こんな方に向いています

  • 改定で保険でのCPAP継続が難しくなった/外れてしまった
  • 毎月の通院が負担で、自分のペースで使いたい
  • これから長くCPAPを使う見込みがある
  • レンタルを続けるより、自分の機器として持ちたい

保険でのCPAP継続にお困りなら、ご相談ください。機種選びから圧設定・マスクのフィッティングまで、CPAPを長く続けたい方をサポートします。
※ ご購入には医師の診断・処方が前提となります。

よくある質問

保険を外れたら、もうCPAPは使えないの?

いいえ。保険でのレンタル管理が難しくなっても、機器を購入して治療そのものを続けることはできます。大切なのは「保険が使えるか」ではなく「治療を続けられるか」です。

自費で買うと、費用はどのくらい?

機種やマスクの種類によって幅があります。初期費用はレンタルよりかかりますが、長く使う場合は総額で割安になることもあります。具体的な費用は、機種の希望をふまえてお問い合わせください。

簡易検査だけでCPAPを始められる?

改定により、自宅の簡易検査でAHIが30以上であれば、入院精密検査をせず外来で始められるようになりました。数値によっては精密検査をすすめられる場合もあります。

購入に診断書は必要ですか?

弊社は国内販売店のため診断書以外・弊社誓約書へのお客様本人の署名での購入も可能ですが、あくまで医師の診断を受けた方のみが対象となります。

まとめ

2026年6月の改定で、CPAPは始めやすくなった一方、続けるための条件は厳しくなりました。使用時間や通院の前提が強まったことで、続けたくても保険の枠からこぼれてしまう方が出てくる可能性があります。

もし保険でのCPAP継続が難しくなっても、治療を諦める必要はありません。CPAPを買い切って、自分のペースで続けるという選択肢があります。まずはご自身の状況を整理し、必要に応じて医師や販売元に相談してみてください。

参考・出典

  • 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定について」
  • 厚生労働省 告示・通知(在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料/持続陽圧呼吸療法充実管理体制加算)
  • 一般社団法人 日本呼吸器学会「睡眠時無呼吸症候群(SAS)の診療ガイドライン2020」

本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、診断・治療方針は医師の判断によります。算定要件や点数の最新かつ正確な内容は、厚生労働省の告示・通知、および各地方厚生局の案内をご確認ください。CPAPは医療機器であり、ご使用には医師の診断・処方が必要です。